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■「2つのあらすじ」

いまさらなんですが、この”あらすじ”には紡木たく原作の『ホットロード』のものと、
実写化(映画化)された、なぜか能年玲奈主演で『ホットロード』の”あらすじ”と

「2つのあらすじ」がありますが、ネタバレとなる結末は原作に沿った脚本で描かれています。

実写版『ホットロード』は映画化に当たり、紡木たく原作の『ホットロード』の世界観を損なうことなく、忠実に再現していると言われています。


映画(実写版)『ホットロード』あらすじについては、封切りから早くも多くの情報があります。

しかし最初に、紡木たく原作の『ホットロード』について知って頂くことで、実写版をご覧になられた時に、より深く『ホットロード』の世界観を感じて頂けるものと信じここにお届けしたいと思いました。



主人公和希の、思春期特有の難しい気持ちや、複雑な家庭環境からくる切ない想いなどの描写を、見逃さない為にも是非「原作」をお読み頂けることを願ってやみません。

しかし、すべての人たちがそうして下さるには、すでに「ホットロード」刊行から年月が経っていること、再刊されているものも人気が高く入手には時間が掛る事などを踏まえ、多くの制約があると思いますので、ここで簡単にご紹介させていただこうと思います。



今回は、紡木たく原作の『ホットロード』”あらすじ”を少しばかり『詳細版』にしてお届けしたいと思います。



それでは、原作『ホットロード』の”あらすじ”です。

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■プロローグ

夜明けの 蒼 い 道  

赤い テイル ランプ 

去ってゆく 細い うしろ姿  

もう一度 あの頃の あの子たちに 逢いたい 

逢いたい……





■物語

主人公は14歳の中学2年生、一宮和希。

父親は和希が2歳の時に亡くなっている。

現在、母子家庭となった和希の家には、亡くなった父親の写真が無い。

なぜなら、両親たちは愛のある結婚ではなかったからだ。

35歳の母親には、妻子持ちで離婚調停中の彼氏が居る。

高校の同級生だった二人はお互いに別の人と結婚して家庭を築いていてにも関わらず、ずっとそういう関係を続けている。

和希はたった一人の肉親である母親から愛を感じる事が出来ず、ずっと孤独に耐えていた。

そして、寂しさを紛らわすかのように母親の誕生日に初めて見出で盗みを働いた。

横浜からの転校生の絵里に誘われるまま連れて行かれた暴走族の集会で春山という少年に出会う。

春山は初めて会う和希に向かっていきなり言い放つ

「おまえんち、家テー環境わりーだろ?」

それに腹を立てた和希に、互いに向う見ずな性格の二人は口喧嘩を始める。

二人の出会いは最悪なものだった。

そころが、族仲間たちからの春山への評価は信じられない位に高かった。

しかし、春山は和希だけにはいつもしつこく絡んできた。

あるとき、春山は和希に向かって「オレの女にならないか」と言いだした。

突然そんなことを言いだす春山に、和希は嬉しさよりも怒りが込み上げてきた。

以前から春山には忘れられない女の子がいると聞いていた。
それに和希にはまだ「愛」というものが分からない。

春山が所属するb放送族集団<NIGHTS>には孤独感など、心に闇を抱えた少年や少女たちが沢山集まっていた。

彼らは、自分の命を削るがごとく夜の湘南をバイクで駆け抜けていた。

和希は暴走する春山の背中にしがみつきながら自分の孤独を打ち消していた。

ある時和希は春山と自分の母親が似ていることに気が付く。

「わがままでお天気やで、きげんの悪いときはひとをキズつけるよーなことへーキでいう・・・・・」

和希の中で春山を想う気持ちが大きくなるにつれ、愛を満足に与えてくれなかった母親への嫌悪感が強くなっていく。

たまたま学校をサボったことが母親にバレてしまい、それが原因で口論に発展する。

「・・・いらない子だったら生まなきゃよかったじゃないか」

そう言い捨てた和希は家を飛び出す。

家出をした和希は春山の元へ向かうが、春山は頑として和希を受け入れない。

春山は自分自身も複雑な家庭環境に育っており、中学を卒業してから一人で生きてきた春山にとって家出はそう甘いものではないと分かっている。

帰れるうちに帰った方が良いと和希を諭すが、和希は春山の助言を聞き入れず友達の家を転々としていた。

そんな生活が長く続くはずもなく、行くあてがなくなってしまった和希は、仕方なく春山のアパートに住むことになる。

慣れない同棲生活を続けるうちに、二人は自然と惹かれあっていく。

愛を知らなかった和希は不器用にも春山を愛し始める。

二人の幸せな生活が始まったと思われたころ、春山は異例の抜擢で<NIGHTS>の総長となった。

総長を引き継いだ春山は、これまで以上に<NIGHTS>にかかりきりになる。

和希は自分の中での春山の存在が大きくなるに連れ、暴走族同士の争いが絶えない春山に生きた心地がしなくなり、行かないでくれと懇願する。

一方の春山にとって、和希は<NIGHTS>総長としての自分にブレーキを踏ませる存在に感じられる。

総長としての自分と、大切な存在である和希への想いとの狭間で悩み苦しんでいた。

そして春山は悩んだ末に和希との別れを選ぶ。

「おまえみてっとイライラする。おまえといるとオレ、ダメんなる。別れようぜ」

春山は和希を想い、彼女の人生から危険な存在となる自分がさることを決意する。

しかし、和希は春山の言葉の裏にある真意を汲み取れず、傷つき苦しむが、春山についていくことを決める。

春山の誕生日の日に和希は一度自宅に戻り、怖くてずっと聞けなかったことを母に問いただした。

「わたしのこと好き?本当に必要?」

その質問に母親は涙が止まらず言葉にならない。

玄関先で見守っていた春山だったが、とうとう痺れを切らせて問う。

「おばさんこいつのこときらいなの?…もしそーならオレがーもらってちゃうよ」

「あ…あげ…ないわよ…だれにも…あげないわよ」
「親が…親が自分の子をきらいなわけないじゃないの。きらいなわけ…ないじゃない…のぉ…」

ようやく和希が小さなころから欲しくて欲しくてたまらなかった母の愛を初めて感じることが出来た。

和希は春山の誕生日を機会に家に戻った。

翌日、春山に会った和希はケンカに行かないで欲しいと泣きながら懇願する。

しかし春山は、毅然とした態度で答える。

「オレがいなきゃなんにもできねーよーな女になるな。オレのことなんかいつでも捨てれる女になれ」

春山は既に<NIGHTS>を束ねる総長となり、和希のての届かない場所にのぼりつめていた。

春山はその後和希の元から1か月ほど消息を絶つ。

春山は久しぶりに会った和希に元気な姿を見せていた。

しかし、春山はその後再び暴走族同士の抗争で、単身で挑戦を受けて乗り込もうとしていた途中にトラックにはねられる。

意識不明の重体で救急車で病院に運ばれる。

知らせを聞いた和希は春山が運ばれた病院に駆けつけるが、意識の無い春山に取りすがり「一緒に死ぬ」と泣き叫ぶ。

母親は取り乱す和希を必死に止め、支えていた。

その後、春山は奇跡的にこん睡状態から抜け意識を取り戻す。

一命を取り留めることは出来たが、後遺症で左半身に麻痺が残ってしまっていた。

春山を襲った突然の事故をきっかけに和希は暴走族をやめ、高校にも通うようになっていた。

春山は退院した後、少年鑑別所に送られて、しばらくして戻ってきた。

春山は回復に先の見えないリハビリを続け、和希はそれを支えている。





「今日であたしは17才になります 今までひといっぱいキズつけました」

「これからはその分 人のいたみがわかる人間になりたい」

「この先もどうなるか ぜんぜんわからないし 不安ばっかだけど」

「ずーっとずーっと先でいい いつか春山の赤ちゃんの お母さんに なりたい…」

「それが 今のあたしの だれにもいってない 小さな夢です」