80年代にヒットした少女マンガ『ホットロード』が、今年の夏に能年玲奈主演で、ついに映画化されました。

『ホットロード』2014年夏の8月16日公開!

どうでも良いですがわたしの誕生日です^_^;



映画を観るかどうかまだ決めてません。

観たい気持ちはあるのですが・・・・・
(迷っています)



ただ、今さらなぜ『ホットロード』なのかという疑問があり、改めて『ホットロード』が気になりましたので、もう一度読み直してみることにしました。

そうすれば、わたしの気持ちにもなにかしらの変化が生じるかもしれない、そう思ったからです。

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■以前に読むことになったキッカケ

僕が以前に『ホットロード』を読んだのは大学生の時でした。

中高生向け少女誌の別冊マーガレットに連載中で、当時は物凄くヒットしていたように記憶しています。

少女マンガということもあって、男性はほとんど読んている人は少なかったように思います。



たまたま、当時付き合っていた女子高生の彼女というのがヤンキーであったのと、彼女の部屋に「別マ」が沢山あったので、何気なく暇に任せて見ていたら”ハマってしまった”んだと思います。

彼女の前で読むのは、少しばかり気が引けて、彼女がバイトに出かけたすきを見て秘かに読んでいました。

結局、この時の彼女は高校を1年も通わずに中退してしまいました。



この年代のヤンキー系の連中は男でも読んでいたようで、ある種バイブルみたいな感じじゃなかったでしょうか。

「別マ」読者世代の女性はヤンキー系に限らず、結構読んでいた子が多かったと思います。



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■『ホットロード』って?
『ホットロード』は、月刊の女性向け漫画雑誌「別冊マーガレット」での連載漫画でした。

当時は少女マンガでヤンキー物を扱うのは珍しかったので、目新しい感じがしたのだと思います。

たぶん、それもヒットの一因だったでのしょう。



その後も、男性向け女性向け問わず、ヤンキー物をテーマとした漫画やコミックは書かれていました。

それも、湘南を舞台にしたストーリーも、いくつかあった様に記憶しています。

週刊少年マガジンの「湘南純愛組!」や週刊少年キングの「湘南爆走族」なども同時期のそれに該当すると思います。

あえて題名は上げませんが、映画にも同じ傾向が現れていました。



この時代「別冊マーガレット」自体が全盛期にあって、年間180万部くらい売れていた時期でもあったと記憶しています。

2000年代に入って30万部台へ激減してしまいますが、これは少女誌に限った傾向ではないようです。



話を本題に戻しますが、『ホットロード』は単行本化され、また改定されるなどして、累計で700万部は売れているようです。

少女マンガの累計販売数順位としては高くないのですが、発行巻数が4巻と少いため、1巻あたりの販売数に換算すると、なんと!3位になります。
(年代別歴代少女マンガ 発行部数ランキングはNANA・ちびまる子ちゃんに次ぐ)


■作者:「紡木たく」って?
これだけのヒットで今までアニメ化・映像化されていなかったのは不思議ですが、これは作者である紡木たく氏の意向であるとされています。

「紡木たく」というと男性の様に思えますが、神奈川県横浜市出身の現在御年50歳の女性作家さんです。

ちなみに、デビューは17歳で、当時21歳で『ホットロード』の連載を始められたそうです。

「紡木たく」さんは1995年以降は休筆されていたようですが、実に12年ぶりに『マイ ガーデナー』(MY GARDENER)という作品を書き下ろしています。

大まかなあらすじは、16歳を目前にした主人公の少女・さなの淋しさを描いた作品で、父親に捨てられたという思いを持つ中、母親の再婚、新しい父、義妹の誕生、愛犬の死などを通して、自分は愛されているのか、誰のために生きているのか実感が湧かないといった少女の内面を描いています。

わたしはある時、「ホットロード」そしてそれ以降の作品の中に、一貫して「父親」の姿が欠落していることに気づきました。

それは、「たまたま」というようなものではなく、物語に流れている”ある種の痛み”とつながっていると感じられるようなものでした。

このようにどこか、『ホットロード』と通じるテーマ性が感じられるのはわたしだけではないと思います。



■『ホットロード』再読後の感想

改めて読んでみて、当時に読んで受けた感想とほとんど変わりありませんでした。

しかし、人生を様々な挫折や苦しみや、つかのまの喜びといったことを経験してきたこの年になってみると、さらに感じられるものがあると思いました。

それは幼い少女の心は脆く傷つきやすいが、また”しなやか”でもあるということです。



わたし自身も12歳~18歳という10代の多感な時期に、父親の愛人、父の死、母親の愛人の存在、大きな社会変動のなかで、自分自身の存在意義をつねに自問して苦しみ、もがいている時期がありました。

たぶん『ホットロード』に強い興味を持って読み耽ったのは、わたし自身が14才の頃に感じていた不安と孤独、それに目標のない破壊的な感情などが、描き出されていると感じたからではないでしょうか。

そうした環境と経験のなかで、人の表面に見えるものがすべてではないと思う様になっていたので、こころに哀しみや不幸を持ちながらも懸命に生きる女性に惹かれていく様になったのです。

たぶんそれが、当時、学生運動をしていた大学生の自分が、ヤンキーの女の子に惹かれていった理由だったと思います。



■わたしの感じた「紡木たく」作品
「紡木たく」さんの作品をすべて読んだ訳ではないので、偉そうに評することは出来ないと思うのですが、『ホットロード』やその他の作品のいくつかは「少女マンガ」というジャンルで括れないものだと考えています。

その理由のいくつかですが、今回は『ホットロード』に限って言うと

キャラクター自体にはさほど強烈な個性が無く、人物の識別に苦労することがあるにも関わらず、独自の”世界観”を作り出しています。

ストーリーそのものはありきたりでなのですが、ヤンキーの世界をそれまでは知らなかった少女からの視点という新鮮な切り口から描いています。

ストーリーはあまり重要とされていないという、見方を変えることが出来きます。



■独自の”世界観”
恐らく『ホットロード』は、いや、紡木作品は、ストーリーよりも、キャラクターよりも、独自の”世界観”が重要視されているんだろうと思います。

背景が余り書かれていなかったりと余白が結構多いのですが、それは見る者の”心のありよう”にゆだねられていると感じます。

たしかに、どこにいる場面かわからないと言ってしまえばそれまでなのですが、少なくともわたしには、作品の場面を見て、そして眼をつむると、描かれていない風景や色さえも感じられる気がするのです。

時には、その描かれていない風景と同じように様々な音さえも・・・

そして、キャラクターを描く線は決して閉じられていません。

スタジオジブリ作品高畑勲監督の「かぐや姫の物語」をご覧になった方はおそらく同じものを感じた事と思います。

線が細くて、”描ききっていない画風”そのものが”世界観”を作る大きな要素になっているのだと思います。

こうした画風は、当時の作品としては抜け出ていたと思います。



こうして『ホットロード』を捉えていくと、今の時代に読んでも全く色褪せてはいないと思います。


一言で言ってしまえば「ドロップアウトした少年少女の内面を描く」

それだけのことですが、これで少しは”違う何か”を感じて頂けましたでしょうか?





■なぜ今『ホットロード』なのか?

『ホットロード』今読んでも遜色ないと書きましたが、映画化するにあたっての脚本のストーリとしてはかなり違和感があります。

たぶんそれが、なぜ今『ホットロード』なのか?

という疑問として、違和感を感じる元になった部分ではないかと思います。



いまどき、女子中学生が家に帰らず友達や彼氏の家を泊まり歩いていたとしたらどうでしょう?

かなり、問題視されるばかりでなく、大騒ぎになりませんか?


こうした問題行動の主人公というのは、万人には受け入れられないでしょう。

ですから、映画化に際してはこの辺りに、微妙な修正はあるか、そこは触れない(描かない)のではないかと思います。

また、主人公の和希(14歳)役が能年玲奈(21歳)ということで多分年齢設定が高校生に引き上げられるのではないでしょうか。

それから、NHK連続朝ドラ「あまちゃん」で大ブレイクした能年玲奈さんですが、ファンの年齢層は広いのですが、熱烈な40~50代のオジサンも含んでいます。

このファン層が、『ホットロード』の”世界観”をどう感じるのでしょう?

また、40~48歳の女性たちといえば、まさにこの当時に、このマンガに熱くなっていた『ホットロード』世代にハマります。



しかし、女性がかつて和希世代だった時にヒットしたこのマンガを、和希の母親世代になった今改めて映画で見るというのはありかもしれません。


そうなるとこの『ホットロード』の映画化は、主人公:和希の年齢である14歳~
壮年夫婦が揃って見に行くことをも想定している向きもあるでしょう。

春山役は三代目J Soul Brothersの登坂広臣”を起用して10~20代の取り込み。

それに、主題曲には尾崎豊の「OH MY LITTLE GIRL」(オー・マイ・リトル・ガール)を持ってきて、尾崎豊の世代30~40代の取り込みを想定しています。


なんとも幅広い年代を狙った「戦略」が見え隠れしてきますね。





■わたしは見に行くのか?
いい歳した男がわざわざ能年玲奈の映画を見に行くというはちょっと違うような気がします。

しかし、かつて和希世代だったパートナーと、改めて映画で見るというのは考えてみようかと思います。

夫婦2人で見に行ける映画というならば、ターゲット設定としてはいいと思います。



繰り返しますが、「いい歳した男が、一人でわざわざ能年玲奈の映画を見に行くというはちょっと気が引けてしまう」のですが・・・

さあ、どうしよう!??

観に行くにしても、封切りの今日と休祭日は避けたい・・・

少なくとも、大ヒットマンガの映画化ですので、作者の「紡木たく」さんの想いと同様で、良い作品になって欲しいと願っています。



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