ホットロードの漫画でのラストと結末は、解かり易くわたしたちにいろんなことを教えてくれた。
どんな少女も少年も、やがて大嫌いな大人になって行くこと。
今までわからなかった、大切な人の存在や自分の居場所が見えてくることなど…。
そんな、「ホットロード」ラストの結末まで、あらすじをまとめてみました。
夜明けの 蒼い道
赤い テイル ランプ
去ってゆく 細い うしろ姿
もう一度 あの頃の あの子たちに 逢いたい
逢いたい……
主人公は宮市和希(みやいち・かずき)、14歳。
中学2年生。
母子家庭の彼女の家に亡き父の写真はない。
父は和希が2歳のとき他界し、両親は愛のある結婚ではなかったから。
35歳の母には、妻子持ちで現在離婚調停中がいる。
高校の同級生だったふたりは、互いに別々の人と結婚しながらもずっと関係を
続けていた。
和希はたったひとりの肉親からも満足に愛情を貰うことが出来ず、いつも孤独で居場所が無く、ひとり膝を抱えていた。
どうしようもない孤独を持て余す和希は母の誕生日に初めて万引きを決行する。
横浜からの転校生でクラスでもなんとなく浮いていた絵里に誘われるまま夜の湘南に出かける。
連れてこられたのは暴走族の集会。
和希は絵里の先輩・宏子の紹介で、春山という少年に出会う。
春山は初対面の和希に向かって
「おまえんち、家テー環境わりいだろ?」
そう臆面もなく言い放つのだった。
「お前にはかんけーねーだろう」とパンチを返し、互いに勝気なふたりは出会い頭から口喧嘩を始める。
散々な出会い。
最悪な第一印象。
春山は、付き合っていたみほ子に振られたばかりで機嫌が悪い。
ところが、族の仲間たちは皆、「口は悪いが女には滅法優しい」と春山を評する。
和希にはそれが信じられないがその後も春山は和希に執拗に絡んでくる。
あるとき春山は和希に「おまえ、オレの彼女(おんな)にならない?」と言いだす。
和希は、あまりに唐突な春山の物言いにむっとする。
春山には忘れられない女がいると聞いていたのに。
和希はまだ「愛」がどういうものなのかを知らない。
ひとりで突っ張っていた宏子は和希に心を開く。
宏子のことを、和希は「あたしの仲間」そう思った。
春山が所属する暴走族<NIGHTS>の集会には、和希と同じように、ひとりでは抱えきれない孤独感や閉塞感を胸に秘めた少年たちが集まってくる。
テイルランプに染まる真夜中のストリート「ホットロード」。
そこを走っているときだけは自由になれるような気がするから、この光の先にここではないどこかがあるような気がするから、彼らは己の命を削るようにして夜を駆け抜ける。
和希は暴走する単車を巧みに操る春山の背にしがみつき、夜の湘南海岸道路を赤く埋め尽くすテイルランプの帯の一部となりながら思う。
「こんなキレイなものはきっと他にない」
ある日、宏子と一緒にナンパされ、乱暴されそうになり春山に助けを求める。
事なきを得た和希は春山に家まで送ってもらうが、母親は恋人の鈴木のところに行って留守をしていた。
和希は、ここには居場所はないと感じており悲しかった。
春山も同様に、再婚した母親の家を出て一人暮らしをしている。
和希と春山の距離は以前に比べぐっと近づき、族の仲間も公認の仲になっていった。
和希の中で春山への想いが次第に大きく深くなるにつれ、感情を上手くコントロール出来ずに苦しむ。
ある日、和希は「なぜ学校をサボった」と叱る母と口論になり、堂々と不倫を続けている母をひどくなじるのだった。
好き同志だった同級生と結ばれなかった過去を涙ながら訴える母を、和希は不潔だと思った。
「…いらない子だったら生まなきゃよかったじゃないか」
和希はそう言い捨てて家を飛び出した。
愛されずに死んでいった父も愛されてない自分もなにもかもが悲しい。
家出はそんな甘いもんじゃないと、和希を春山は受け入れようとしない。
和希は反発し友人宅を転々とするが続かず和希は春山と同棲する。
一緒に暮らし始めた当初、春山は和希に「やらせろ」と迫るが和希はそれを一切拒む。
しかし慣れない生活の中で、未熟なふたりは自然に魅かれあい、和希は不器用ながらも春山を愛し始める。
満たされた幸せも束の間、族の切り込み隊長をする血気盛んな春山は異例の抜擢で<NIGHTS>の総頭を継承。
春山はそれに族にかかりきりになり、和希はまた孤独を感じる。
対抗する族から狙われはじめる春山に、和希は生きた心地がしない。
「夜の爆音と光がいつも春山をつれていってしまう」
春山が必死に止める和希や仲間を振り切って、新宿の暴走族<漠統>の呼び出しに応じて茅ヶ崎近くの駐車場に単身乗り込んで行ったが、全身にひどい傷を負いボロ雑巾のようになって帰ってきた。
「族の世界は思ってたよりもずっとこわかった」
あんな思いはもう二度としたくない。
和希はムチャ行動をとる春山を見つめながら、自分を傷つけることは自分を愛する人をも傷つけることに繋がるのだと痛感する。
一方で春山も総頭としての立場と大切な和希を想い、その狭間に揺れ困惑する。
和希は知らず知らずのうちに春山のブレーキになり、春山を押し留めようとする存在になっていた。
春山は
「おまえみてっとイライラする。」
「おまえといるとオレ、ダメんなる。」
「別れようぜ」
春山は和希を想い、危険な自分の存在から遠ざけようと、別れることを選択する。
和希はその言葉の真意を読み取れず、もっと泣かされるかもしれないが、それでも最後まで春山についていこうと覚悟を決める。
和希と春山は互いの家族について語り合う。
春山が自身のことを和希に明かすのは初めてだった。
春山の誕生日に、和希は春山に付き添われて久しぶりに家に帰る。
ずっと母に問いただしてみたかったけど、怖くてずっと聞けなかった言葉。
「あたしのことすき?」
「本当に必要?」
和希の涙ながらの問いかけに泣きじゃくり言葉にならない母に、それまで部屋の入口で背を向けて黙っていた春山が痺れを切らせて問うのだった。
「おばさんこいつのこときらいなの?…」
「もしそーなら…」
「オレがもらってっちゃうよ」
母は春山をきっと見据えながら答える。
「あ…あげ…ないわよ…だれにも…あげないわよ…」
「親が…親が自分の子をきらいな訳ないじゃないの。」
「きらいなわけ…ないじゃない…のぉ…」
「産んでよかったに、決まってる!」
それは和希が物心ついた頃から求めていた、本当は信じたくて、欲しくてたまらなかった母の愛だった。
翌日、和希は春山に言った。
「いっちゃうの?」
「嘘だって言ってんじゃん」
「いかないで」
「私こんなに誰かを大事なんて、思ったことない」
「自分より大事なんて、思ったの初めてだよ」
喧嘩なんか行かないで欲しいと懇願する和希に春山は間を置いて答える。
「おめーよ」
「オレがいなきゃなんにもできねーよーな女になるな。」
「俺のことなんかいつでも捨てれる女になれ」
「そんでもおれが、追っかけてくような女んなれ」
そう言って去っていく。
春山は、いま和希の手の届かないところにいる。
春山は和希を家に送り届けた後、一ヶ月ほど消息を絶つが、和希は恐くて連絡を取れない。
幼いころの父親との思い出は、母の愛人の鈴木と遊園地に行った時のものだと知り、何も信じられなくなり春山に助けを求めに行く。
春山は久しぶりに和希の前に姿を見せるが、直後に族同士の抗争中、検問を避けようとして事故に遭い走行中のトラックに撥ねられる。
春山は5メートル、空を飛んだ…
意識不明の重態に陥る春山。
和希は駆けつけた病院の廊下で春山と「いっしょに死ぬ」と言って取り乱す。
その和希を必死に止める母親が居た。
和希はそのとき初めて母に愛されていると感じる。
「死にたくない、和希…」そう言って奇跡的に春山の意識は戻る。
しかし、一命は取り留めたものの、左半身麻痺という後遺症が春山に重く圧し掛かる。
あのときは 何もみえなくて
人キズつけても 自分の体キズつけてもヘーキで
かっこいーとも思って
悪いことしてもぜんぶ人のせいにしてた
でも 自分がやったことは いつか自分にかえってくる
もし このこと知ってて あの頃にかえれるなら…
和希は春山の事故をきっかけに、族を抜けて高校に入る。
「だれかが事件おこして連れてかれたり、死んじゃったり…
そーゆーの聞くたんびに胸がつぶれそーに痛い」
春山が退院後に鑑別所に収監され、そこを出てから先の見えないリハビリが続く春山と、それを支えようとする和希が居た。
やがていつの日かふたりを繋ぐ絆が強く太く確かなものになれたら…。
今日であたしは17才になります 今までひといっぱいキズつけました
これからはその分 人のいたみがわかる人間になりたい
この先もどうなるか ぜんぜんわからないし 不安ばっかだけど
ず―っとず――っと先でいい いつか 春山の赤ちゃんの お母さんに なりたい…
それが 今のあたしの だれにもいってない 小さな夢です
春山洋志 16―18 宮市和希 14―17
あたしたちの道は ずっとつづいてる
=了=
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