昨今、ホットロードだけじゃなく、少女コミックの映画化、実写化が盛んにおこなわれる様になりました。

しかし、その理由はどうしてなんでしょうか?

最近の少女コミックが映画化されたタイトルを上げると、『ストロボ・エッジ』『アオハライド』『ホットロード』などが思い浮かびます。

そして、単に映画化されただけにとどまらず、その興行収益はうなぎ上り。

このあたりにも、映画化される要因はありそうですが、本当にそれだけなんでしょうか?

▼ヒットした背景にはなにがある?

少女コミックの映画化は今後も増える傾向にあります。

実際、公開された女性向けコミックが原作の映画化は、ここ3~4年ほどで顕著に増えているということです。

最近ではこの春3月14日に公開された映画『ストロボ・エッジ』(監督:廣木隆一)がヒットしました。

映画『ストロボ・エッジ』は『あまちゃん』で春子(小泉今日子)の青春期を演じた有村架純と、種市先輩の福士蒼汰のコンビが主演です。

原作は、2007年から10年にかけて『別冊マーガレット』(集英社)で連載されていた咲坂伊緒原作の少女コミックです。

この作品の3週目の週末を終えた興行収入は、激戦の春休み興行の中、安定した成績を収め、14億7000万円を突破しました。

咲坂伊緒の作品は、昨年12月に公開された『アオハライド』「ホットロード」の監督:三木孝浩)に次いで2作目の映画化です。

この『アオハライド』も興行収入約19億円のヒットだったことを考えると、少女コミックの映画化は当たる(?)という図式が見えてきます。

しかし最近、こうした女性向けコミックの映画化が目立ちますが、どうしてなんでしょう?

単純にヒットするからだけという訳ではなさそうです。

 

▼単なる流行ではなかった

どうも、そのきっかけとなったのは2005年あたりから、らしいです。

2005年当時、矢沢あいの大ヒット原作漫画を映画した『NANA』が公開されましたが、配役には中島美嘉と宮崎あおいのダブル主演、さらに松田龍平、松山ケンイチ、玉山鉄二、成宮寛貴など、現在も一線で活躍する多くの男優が出演していました。

さらに、『花より男子ファイナル』や『のだめカンタービレ』などの大ヒットが続き、現在に至りますが、そう、ただ作れば(映画化)良いという訳ではなさそうです。

最近の映画で記憶に新しい、昨年公開された『ホットロード』もそうです。

30年ほど前に大ヒットした紡木たくのこのコミックは、現在30代後半から40代前半の女性たちのほとんどが読んでいた作品です。

映画は、この中年層も取り込んで大ヒットに繋がりました。

 

▼マーケティングの重要性

ちゃんとマーケティングを行い、ターゲット層を読んだうえで実写化にこぎつけているんですね。

それに、配役がかなり重要なファクターになるのが、コミックの実写化です。

読者層はみんな原作に対するイメージを持っていますし、原作を知らない視聴者は配役に興味がある訳です。

もちろん、どの様に脚色されどのような演技をするか、どんな見せ場があるかも重要になります。

 

▼”暗黒時代”を抜けて

でも、もっと大きな要因は80~90年代”日本映画の暗黒時代”ともいうべき観客動員数が激減した時代を抜けて、ようやくシネマに足を運ぼうという若者が多少なりとも増加したからです。

もちろん若者たちが観たい映画を作らなければこの限りではありませんが…。

ヒットに結びつかなかった80年中盤~90年代

それにしても、なぜこれほどまでに女性向けコミックの映画化が増えているのでしょうか。

一方、男子コミック原作の『ビーバップ・ハイスクール』という、ヤンキーコミックを原作とする人気シリーズは人気を保ってはいました。

 

▼邦画全盛期

80年代前半はあれほど、角川映画とジャニーズ映画でにぎわっていたというのに。

中高年世代の方は覚えているかと思いますが、薬師丸ひろ子・原田知世・渡辺典子の「角川三人娘」による『セーラー服と機関銃』(1981年)や『時をかける少女』(1983年)、たのきんトリオの『ハイティーン・ブギ』(1982年)やシブがき隊の『ボーイズ&ガールズ』(1982年)など、男女それぞれに向けたアイドル映画がヒットしていました。

しかし、それ以降は先に説明した”日本映画の暗黒時代”が訪れます。

 

▼テレビドラマの隆盛

こうしたなかでも、テレビドラマでは女性向けコミックの実写化は結果を残していました。

たとえば1993年フジテレビで松雪泰子主演『白鳥麗子でございます!』は平均視聴率16.7%のヒットになり、後に映画化もされました。

また、連載は男性誌でしたが、1991年には柴門ふみの『東京ラブストーリー』や1993年『あすなろ白書』は、好視聴率を記録しました。

それ以降も、テレビドラマのジャンルでは『ガラスの仮面』等々、記憶に残る多くの女性向けコミック原作のドラマが創られました。

90年代の女性向けコミックの映像化は、テレビでは人気が出ました。

しかし、映画では不人気でした。

90年代にはティーンの女性たちが映画館(邦画)に連れ立って行くには、抵抗があったのか、あるいは映画館に足を運んでまで観たいと思える映画が無かったのかもしれません。

しかし、2000年代に入ってからは、女性向けコミックが台湾でドラマ化され大ヒットし、さらにそのブームは韓国にも飛び火したのです。

日本のドラマや映画の制作者が、こうした状況に気づいたのは必然のことでした。

2005年TBSの井上真央主演ドラマ『花より男子』は、若い世代の記憶にも残っているでしょう。

そこで、日本の映画界は日本映画が復活した時期と並行して、女性向けコミックの力を得て、女性に訴求する作品を生み出しているといえます。

最近になり、男性向けコミックは『海猿』、『20世紀少年』、『DEATH NOTE』、『テルマエ・ロマエ』などのめぼしい作品はかなり映画化されてしまいました。

いまも『進撃の巨人』や『暗殺教室』などの新たな男性向けコミックのヒット作品が、映画化されています。

心配なのは、人気コミック原作が枯渇しないかとういう点です。

そこで映画界が眼を付けたのが、女性向けコミックという金脈です。

 

▼女性向けコミック映画化は製作者にメリットがある

女性向けコミックの映画化はターゲットが明確に絞れている点に置いて宣伝広告の媒体や手法も明確に出来るというメリットがあります。

製作者サイトでは、女の子たちが連れ立ってシネコンに来ている現状を分析していたのです。

コンテンツも、明確なターゲットとして、ポップカルチャーの牽引役である若者に絞ることでもっと宣伝がしやすいのです。

おまけに製作費が絞れるメリットも…。

何故かと言うと舞台は学校がほとんどで、アクション映画やSF映画のように特撮などに予算がかかることはまずありません。

キャリアの浅い売り出し中の若手俳優なら出演料もグッと抑えられます。

出演者は、女優はファッション誌からの登用。

男優の登用は、ジャニーズや、『仮面ライダー』(福士蒼汰、菅田将暉)やEXILEトライブ(登坂広臣)などから供給できる。

明確なターゲットがあり、製作費は低予算で原作の基礎票もあるとなれば、マーケティング的にはベターな選択でしょう。

現在、ティーンを中心に大ヒットしている少女コミック原作の映画は、ラブストーリーばかりです。

しかし、女性向けコミックの場合は、単純な恋物語ではないべつのアプローチが必要になります。

間違えてはいけないのは、人気の少女漫画やコミックが原作だからと言って、制作側が原作をしっかり読み込めていなければ、ヒットするとは限りません。

そう、少女コミックと、おとなの女性向けコミックは別物でもあり、また重複する部分もあるので、読み間違えば失敗は必須となります。

 

▼2015年-今年期待される映画

ズバリ『海街diary』

6月13日に公開される『海街diary』は、男女の恋愛をメインテーマにしていない女性向けコミックの実写化です。

原作のコミック『海街diary』(吉田秋生)は、鎌倉に住む4姉妹の日常を描く内容です。

映画化でこの4姉妹を演じるのは、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずです。

主題は家族同士の関係で、恋愛要素はほんの少しです。

この作品は、『誰も知らない』や『そして父になる』の是枝裕和監督ということも期待を持たせてくれます。

人気の女性向けコミックが原作で、世界的評価の高い是枝監督と、4人の主演級女優ともなれば、その内容や興行成績は大きく注目されます。

他にも、今年は

5月9日公開予定の『脳内ポイズンベリー』(水城せとな原作) 
9月5日公開予定『ピース オブ ケイク』(ジョージ朝倉原作) 
9月19日公開予定『ヒロイン失格』(幸田もも子原作)

などの映画化が続きます。

それらがどのような仕上がりになるのかが今からとても楽しみなのは私だけではないはずです。 

 

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