いまさらなんですが『ホットロード』に能年玲奈さんが主演で出演され、その意気込みをインタビューで語っています。

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能年玲奈さんは、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』で国民的ヒロインになったのは記憶に新しいですね。

早く次のドラマや映画出演などを望むファンの声も多かったと思います。

とうとう主演作『ホットロード』がいよいよ公開されました。

この映画の原作は、80年代に多くの少女を夢中にさせた伝説的コミックです。

心に傷を持った少女が、暴走族の不良少年と恋に落ちる姿を、能年玲奈さんはどう演じたのでしょうか?

『あまちゃん』出演後から、『ホットロード』主演までの“空白の時間”に彼女が揺れ動いた気持ちなども明かしてくれています。

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■自分とはほとんど正反対の女の子


――『ホットロード』では今日の取材と違って、笑顔がほとんどなかったですね。

【能年】 そうですね。
演じた和希は、自分とはほとんど正反対の女の子だなと思いました。


――とくに「自分なら絶対やらない」と思った和希の行動は?

【能年】 私はお母さんに対しても、ムカッときたら、その場でストレートに言葉にしちゃう方なんです。
和希みたいに、どうしていいかわからなくて素直に気持ちを吐き出せないことは、私にはないかな。


――能年さんがお母さんにストレートに言ったことって、たとえばどんな?

【能年】 東京に来てくれたときに、私の家に泊まると言うので、「無理です」と(笑)。
狭いし布団もないので、ホテルに泊まってもらいました(笑)。


――原作や台本を読んで、和希をカッコイイと思ったシーンもありますか?

【能年】 えりを「私の友だち」って抱きしめるところが、すごく好きです。
自分が大切にしている友だちを守りたいと思うところが、カッコイイなって。
ちゃんと「友だちなんだ」って、強く思っていて。


――そうですね。えりを悪く言うクラスメイトをどついたりするのは、シビレました。
能年さんも友だちを抱きしめたりするんですか?

【能年】 あまりないかな。楽しくなって、バーンと叩いたりはします(笑)。
最初はユルく叩くんですけど、どこまで大丈夫か挑戦する感じで、どんどん強く叩いていくので、よく怒られます(笑)。


――ちょっと迷惑な友情表現かも(笑)。和希は台詞以上に目や表情の演技が多い印象でした。

【能年】 監督から「無表情で何も考えないで」「何もしないでそこにいてください」という演出をけっこういただいて、「うーん……」と悩みました。
そういう演出は初めてだったので。
万引きをした後のシーンも“何も考えずに万引きって?”と思ってしまって。
そういうところで、“無表情でも目で意志が伝わればいいな”というのはありました。



■“能年玲奈”と認識してもらうために…


――春山との出会いのシーンもそんな感じで?

【能年】 あそこはツンとした感じでした。
和希は春山にムカッときながらも、一瞬で強烈に印象は残ったと思うので。
そこから彼に惹かれてもいたので、ふたつの気持ちが見えればと思っていました。


――和希は“人に弱みを見せない”といったポリシーがあるんですかね?

【能年】 お母さんにほっとかれていると思って、孤独を感じているんです。
でも、お母さんへの固執があるから、どうしていいのかわからない。
かまってほしいから、万引きをしたり、髪を染めたり、家を空けたり……と突発的にやっちゃうんじゃないかと思いました。


――能年さん自身も役に合わせて髪を染めて。

【能年】 初めて染めました。
“もっと明るくしても良かったかな?”と不安も感じつつ、監督が決められたので、任せてがんばろうという感じでした。


――撮影中、演技に関して試行錯誤したことはありました?

【能年】 原作の空気感や和希のイメージを忠実に演じるのと、そのなかで自分の軸からブレない演技をしたくて。
すり合わせがすごく難しかったです。
私ってたぶん、ポーンとした明るいイメージがあると思いますけど、今回は全然違う役。でも、私だと認識してもらえる演技をしたかったから。
どういうアプローチをしたらいいか、悩みました。


――結果、どんなアプローチを?

【能年】 少年のような女の子になればいいかな、というのがあったり。
あと、和希の不器用なところを、暴力的に表現しようと思いました。


――棒切れを振り回すところとか?

【能年】 そことか、頭突きのシーンも思い切りやらせていただきました。
痛かっただろうと思いますけど、登坂(広臣)さんに「大丈夫ですか?」と聞いたら「思い切り来てください」ということだったので、ドーンと(笑)。



■はじめはちょっと怖かったけど…意外と平気


――演じていて、楽しかったシーンもありますか?

【能年】 木村(佳乃)さんとのシーンはすごく楽しかったです。待ち時間にいろいろなお話をしてくださって。それでいて、カメラが回ると和希のお母さんとして想いをぶつけてくださったので、気持ち良かったです。


――バイクの後ろに乗って走ったりは、実際にしたんですか?

【能年】 春山に家の前まで送ってもらうシーンは乗っていました。
はじめはちょっと怖かったんですけど、意外と平気で気分良かったです。


――暴走族って、どう思います?

【能年】 見たことがないし、私には本当にわからない世界ですけど、80年代をリサーチしていたら、大人からの抑圧が強かったと聞きました。
だから春山みたいに暴走族になって、大人への反抗を表現していたのだと。
その話を聞いて、“そういうことなのか”と納得しました。


――80年代のリサーチをしたんですね。

【能年】 はい。監督には「時代のことはあまり考えず、今の子たちにも通じるように」と言われたのですが、原作ファンの方もいらっしゃるし、今の人たちに通じるようにするうえでも、時代を無視するのは難しいと思って、調べました。

――何か80年代カルチャーで響くものはありました?

【能年】 大人対子どもという図式がハッキリしていて、みんなの意識のなかに「大人は敵だ」というのがあったと聞いて。
そのハッキリした感じは素敵だなと思いました。
今はあやふやな感じがするから。


――丈の長い制服のスカートには驚いたんじゃないですか?

【能年】 私も田舎だったので、中学の制服は膝下じゃないとダメでしたけど、あそこまで長いのは初めてでした。
あと、三つ折りの靴下が新鮮。
履き心地はサーッとして気楽な感じでした(笑)。



■私がこの役をやる意味が出ないとダメ


――これまでも映画には出演されていましたけど、『あまちゃん』後は初で、気持ちの切り替えは必要でした?

【能年】 期間が空いてからの撮影だったので、疲れはとれていたし。
私がこの役をやる意味が出ないとダメだと思ったので、そこの部分はがんばりたいなと思っていました。

――『あまちゃん』が終わって『ホットロード』を撮るまでの間は、どんな生活をしていたんですか?

【能年】 服を引っ張り出してテーマを決めて写真を撮ったり、新しいことをしようと絵とか創作したりしていました。


――能年さんはもともと多趣味のようですが、最近新しく始めたこともありますか?

【能年】 ミシンで洋服を作っています。小泉(今日子)さんがミシンをプレゼントしてくださって。
ワンピースとかスカートを型紙なしで自分で作ります。


――では、『ホットロード』の撮影を経て、自分が成長したと思うところは?

【能年】 踏ん張れるようになったかな。
私だと認識してもらえる演技を、この役で軸をブラさずにやるのがすごく難しかったので、ヘニャッとなりそうなときがあったんです。
冒頭の万引きをした後のシーンとか、家で何も食べずにじっとしているところからワッとなっちゃうシーンとか。
でも何とか踏ん張って、ブレないところでやれたと思います。



PROFILE
能年玲奈
1993年7月13日生まれ。兵庫県出身。
2006年、第10回ニコラモデルオーディションでグランプリを受賞しデビュー。2012年2月、第11代『カルピスウォーター』のCMキャラクターに起用され一躍注目を集める。その後、映画『カラスの親指』『グッモーエビアン!』(2012年)などに出演。2013年、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロインを演じ、ドラマ初主演。2014年12月、主演映画『海月姫』公開予定。1stフォトブック『ぐりぐりぐるみ』が発売中。

【出典元:ORICONスタイル(文:斉藤貴志)】